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健康コラム

くも膜下出血から奇跡の生還を果たし、リハビリを続けながら執筆活動を行うコラムニスト・神足裕司が日常をつづっていきます。

VR


1ヶ月ほど前にお茶の水にあるデジタルハリウッド大学の卒業制作展にお邪魔した。福岡俊弘教授のゼミでVRの作品が発表されると聞いて出向いたのだ。

ご存知の方もいるかもしれないが最近ボクはVR(バーチャルリアリティー)を広めるべく作られたPANORAというところで連載をしている。

ド・素人のボクがなんで?と思う。

2年ぐらい前に娘がニューヨークに旅にいった時の360度画像を送ってくれた。病室にいたボクはほぼリアルタイムでそのVR用のゴーグルをつければ彼女のみている(撮っている)映像がみられる、という原稿を書いた。普通の画像と違うのは、ボクが右を見れば右、後ろをみれば後ろの彼女のいる場所の風景がみえるところ。

まるで、彼女と一緒にそこにいるかのように。大学病院のベッドの上で娘とニューヨーク旅行に行ったかのように思えた。そんな原稿だったと思う。

それを目にしたPANORAの方が「VRの新しい活用法だと思う。ぜひ神足さんにいろいろ体験して書いてほしい」そうおっしゃってくれたのだ。ベッドの上で外に出られなくても、何らかの事情で現地に出向けなくてもまるでそこにいるかのような体験ができるのだ。

それから様々なVR体験をしてきた。バンダイナムコがプロデュースしているエンターテイメントテーマパーク「VR ZONE」にいってバーチャスなバス釣りを楽しんだり、まるでライブ会場にいるかのような舞台の上でカラオケを歌っている体験もした。

高齢者施設で働いていた登嶋さんはその施設の方のために思い出の地を巡り映像を撮ってお見せし、大変喜ばれたという。
そんなことも取材した。もう行けないと思っていたふるさとにポッと立つ事ができるのだ。涙を流されていたという話を聞いてボクまで涙が出た。

VRにはこんな副産物がうまれている。けっこう病気をされている人や外にでられない高齢者などにうってつけだと思っている。

そんなVRをデジタルハリウッド大学の学生が卒業制作に出したという。若者はどんなものをVRにするのだろうと興味津々。



出かけてみるとそこは温泉宿の入り口の風体。「湯」ののれんがかかっている。小部屋に椅子と足を入れるドームのようなものが置かれている。もちろん靴を脱いで、すのこを歩いていく。椅子に座るとVRのゴーグルをかける。するとそこはどこかの露天風呂。バーチャルな女の子がいて一緒に足湯に入る。
足はほのかにあたたかい。温泉のにおいもする。後ろを振り向けば浴場の入り口が見える。そう、VRのいいところは自分の意思で向いた風景が見えるところだ。ぽかぽか足元があたたかいのは電熱温風機のせい。バスクリンの入ったお湯が温泉の香りを出している。

よくできている。VRのゴーグルのなかは温泉だから実際に足湯に入っている錯覚すらする。学生たちがこんなものを作ってしまうんだなあという感動があった。荒削りだけど4年間大学に通って得た成果としては十分だ。日本の未来は明るい。

意外だったのはそんなゼミで勉強したけれどその道に進むかどうかは別問題だといっていたこと。デジタル系にそのまま進む人もいれば一般の会社に就職する人もいるという。けれどあれを作り上げたという一生の思い出は大きな糧になるはずだ。

ボクはすっかりVRのとりこになっている。しばらくは急速に一般の生活に入りこんできたVRを調べていきたいと思う。


著者紹介

神足裕司(こうたり ゆうじ)

1957年8月10日、広島県広島市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代からライター活動を始め、1984年、渡辺和博との共著『金魂巻(キンコンカン)』がベストセラーに。コラムニストとして『恨ミシュラン』(週刊朝日)や『これは事件だ!』(週刊SPA!)などの人気連載を抱えながらテレビ、ラジオ、CM、映画など幅広い分野で活躍。2011年9月、重度くも膜下出血に倒れ、奇跡的に一命をとりとめる。現在、リハビリを続けながら執筆活動を再開。復帰後の著書に『一度、死んでみましたが』(集英社)、『父と息子の大闘病日記』(息子・祐太郎さんとの共著/扶桑社)、『生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた』(妻・明子さんとの共著/主婦の友社)がある。 朝日新聞月曜朝刊「コータリンは要介護5」連載中。

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