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健康コラム

くも膜下出血から奇跡の生還を果たし、リハビリを続けながら執筆活動を行うコラムニスト・神足裕司が日常をつづっていきます。

天気予報

この季節になると、ことさらに天気予報とにらめっこ。当日となれば前線と追いかけっこする。

先日も予報は昼過ぎから雷雨。激しい雨とのこと。この日は友だち宅でタコスパーティーが行なわれる予定だった。家族会議。「どうする?」「こんなに晴れてるのになあ」「雨降る前に家出ちゃう?」そうなんです・・・我が家の第一関門、階段。雨が降ったらリフトの上げ下ろしで合羽を着ても傘を差しても少なからず濡れる。帰りはまだいいとしても行きではちょっと困る。とりあえず雨が降る前に出てしまえばと、あさはかにも思うのだ。前線はまだ東海地方だ。まだちょっと間がある。

予定より2時間も早く出ることにする。

道中、前から行ってみたい「らいちょうBOOKS」という本屋さんがあった。ここは出版社がはじめた本屋で、こじんまりとしたカフェを兼ね備えていた。



選ばれている本たちが実にいい。本を編集したり書いたりしている人がこれは置きたいと選んだ本たちが置かれている。ボクの本も置いてくれていると聞いていたのでどんな本屋さんか見てみたかった。これもあれも手に取りたい本がたくさんある。1000円以上購入の人はドリンクサービスとのことで買った本をカフェでじっくり読める。いい本屋さんだ。カフェでアイスティーをいただいているあいだもスマホで天気予報をチェック。追いつかれてはせっかく早く出たのに意味がない。

そこから30分ぐらいでタコスパーティーの友人宅の近くに着いた。それでもまだ約束の時間より40分ぐらい早い。並木道に車を止めて窓を開けて夏のような陽気のなか空を見つめる。「ずいぶん雲があっちの方は出てきたねえ」今度は友人宅に入るまで雨が降らないことを願う。「あと30分ぐらいは平気なんじゃないかなあ」妻も天気予報士さながら天気図も見るようになったし、雲の動きにも細心の注意をはらう。ときどきその光景をふたりで笑ってしまう。

子どもの運動会や遠足、今までも天気予報を気にしたことはあったけれど、長期予報やその日の天気、一週間の天気、さまざまな天気予報を気にするようになったのはやはり車椅子になってからだ。予定変更ができるようなものならいいが1ヶ月前から大勢かかわって決めた取材が雪や雨で駄目になる、そんなことは避けたいじゃないか。「どうしても」な予定に雨の予報が出てしまったら、2-3日前から対策を考える。介護タクシーをたのんだり、階段の上げ下ろしに人を頼んだり・・・。そんな悪天候で車椅子の人はあまり外に出ないのだろう。驚かれることもしばしば。仕事なら普通「雨だから行けません」そんなことにはならない。「車椅子ユーザーの仕事だからしかたない」そう思われたくもない。が、現実としてはあきらめたこともある。友だちとの約束だって、行っても行かなくなっても雨では迷惑をかけやしないかちょっとはらはらする。もちろん相手はそんなに深く考えていなくて「神足のやりやすい方でいいよ」そういってくれるのだが、自分自身の気持ちの問題なんだろう。

そんなジレンマの季節がやってくる。梅雨は悩ましい。

タコスパーティーは無事はじまって庭で牡蠣を炭で焼いてくれていたが、それが全て終わった頃ザ~~~っと雨はやってきた。帰りの自宅階段はずぶぬれで上がってきたが、ぎりぎりその日のミッションは終了した。友人に感謝。


著者紹介

神足裕司(こうたり ゆうじ)

1957年8月10日、広島県広島市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代からライター活動を始め、1984年、渡辺和博との共著『金魂巻(キンコンカン)』がベストセラーに。コラムニストとして『恨ミシュラン』(週刊朝日)や『これは事件だ!』(週刊SPA!)などの人気連載を抱えながらテレビ、ラジオ、CM、映画など幅広い分野で活躍。2011年9月、重度くも膜下出血に倒れ、奇跡的に一命をとりとめる。現在、リハビリを続けながら執筆活動を再開。復帰後の著書に『一度、死んでみましたが』(集英社)、『父と息子の大闘病日記』(息子・祐太郎さんとの共著/扶桑社)、『生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた』(妻・明子さんとの共著/主婦の友社)がある。 朝日新聞月曜朝刊「コータリンは要介護5」連載中。

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