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健康コラム

くも膜下出血から奇跡の生還を果たし、リハビリを続けながら執筆活動を行うコラムニスト・神足裕司が日常をつづっていきます。

カープ女子

今年もカープにマジックが点灯した。もう奇跡なんて言わせない。野球に関しては広島の皆さんの方が細かくよくご存知だと思う。ここでは球団が今の状態になったあたりのことを書こうと思う。

補強が十分でなくたって長年の蓄積が実を結び始めた。カープはご存知のように市民球団で常に貧乏だった。だから金に物をいわせていい選手を引っ張ってくるわけにいかなかった。けれど育てるのはうまい。あの家族的な一種独特な連帯感と粘り強さが持ち味だ。

広島の町を歩けば「まったくのう、一本も打たんようならもう帰りゃーええよのお」と今日の打線について自分の子どものように選手を叱咤激励なんていう光景はあたりまえだ。それが「いつの間にかカープが全国区になったんだなあ」と思う瞬間があった。

もう10年ぐらい前の話だ。ボクのまわりには東京出身でも「カープの根性が好き」とか、大阪の方でも秋田の方でもボクにカープファンの名乗りを上げてくださる方はたくさんいた。世の中にもたくさんいらした。が、2010年ぐらいからじわりじわりとカープファンが増殖してきているのを肌で感じた。ブームというやつだ。

ボクが倒れる少し前、ボクの東京出身の姪が「カープ女子」というくくりでテレビ取材された。
2009年あたりから新本拠地のマツダスタジアムのオープンにあわせて球団は女性ファンを取り込もうといろいろなグッズを売り出した。それが関東圏でもじわじわと成果を挙げたのが2010年ぐらいから。一番のピークは2014年あたりらしい。女子の力とはすごいことだ。おじさんやおにいさんが連れ立って野球観戦するよりもそこに女性が加わると数段経済効果が上がる。見ている方も一緒に行く男性だって華やかな気分にもなる。

赤いユニフォームも女性の人気を加速させたと聞く。
その取材された姪はいま結婚して大阪在住。めでたく子どもも生まれた。もちろん長迫くんという旦那が熱心なカープファンだったこともあるのだが、その子どもだって1歳の誕生日を迎え球場応援のデビューもした。なにが言いたいかというと女性ファンがひとり増えるとその周りの経済の動きが顕著にかわる。



カープも努力を惜しまなかった。カープと名が出ているグッズは全球団で1番ではないかと思えるほど多岐にわたっている。その1歳で球場デビューした姪の子どもだってカープのよだれかけやロンパースだ。街にはカープグッズであふれている。清酒、ソースいか天、ジュースにラーメン、手袋、赤ちゃんのおもちゃのがらがらだってある。我が家にもRCCが作ったラジオもある。セブンイレブンにはふつうにカープのリポビタンDだって置いてある。ちょっときいてみたらリポビタンDは各球団あるそうだが街にこれだけ普通に置いてあるのは広島だけじゃないだろうか?と思ってしまう。そしてそれを普通にみんなが買う。貧乏なカープの資金源にかなりなっているだろう。

もちろんマツダスタジアムは9割が赤いユニフォームで埋まるときいていたが、2014年のクライマックスシリーズではあの熱心な阪神ファンで有名な大阪でさえ赤いユニフォームが幅を利かせた。広島の好調の影にファンあり。昔から家族のように叱咤激励していたおやじさんたちに加え全国区のファンのお陰でカープは今年も頑張ってくれるに違いない。


著者紹介

神足裕司(こうたり ゆうじ)

1957年8月10日、広島県広島市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代からライター活動を始め、1984年、渡辺和博との共著『金魂巻(キンコンカン)』がベストセラーに。コラムニストとして『恨ミシュラン』(週刊朝日)や『これは事件だ!』(週刊SPA!)などの人気連載を抱えながらテレビ、ラジオ、CM、映画など幅広い分野で活躍。2011年9月、重度くも膜下出血に倒れ、奇跡的に一命をとりとめる。現在、リハビリを続けながら執筆活動を再開。復帰後の著書に『一度、死んでみましたが』(集英社)、『父と息子の大闘病日記』(息子・祐太郎さんとの共著/扶桑社)、『生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた』(妻・明子さんとの共著/主婦の友社)がある。 朝日新聞月曜朝刊「コータリンは要介護5」連載中。

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