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健康コラム

くも膜下出血から奇跡の生還を果たし、リハビリを続けながら執筆活動を行うコラムニスト・神足裕司が日常をつづっていきます。

東大ワークショップ

VRゴーグル


最近1ケ月に1~2回、東京大学の工学部で行なわれるワークショップに出向いている。

以前にも書いたことがあるが東京大学先端科学技術センター身体情報学分野 稲見・檜山研究室の学術支援専門職員である登嶋健太(としま・けんた)さんのところで学ぶためだ。ここで登嶋さんは高齢者がVR体験をして心と身体にどのような影響を与えているかを研究している。


登嶋健太さんと


登嶋さんは介護施設でリハビリを担当していたそうだ。そのとき昔行った思い出の場所の写真を撮って利用者にお見せしたところ非常に喜び「ああ、ここの横にお店あったでしょ?」などなど普段あまり話されない方までよくお話をしたりいきいきと目を輝かせたりといつもと違う手ごたえがあったそうだ。

「横にあったお店」を見るためにと360度カメラに着眼、VRで世界中の思い出の地のリクエストに応え撮りに行ったそうだ。昔奥さんと行った外国の風景。VRのゴーグルをつければそこに行って立っているようである。後ろを振り向けば後ろが、上を向けば空が見える。

施設の高齢者たちはいつもだったら腕が上がらないのに見たいがためにゴーグルを持ち上げる。自然と上がらないはずの腕が上がっている。そんな副産物のいいことも発見した。なによりも見ている人たちが皆HAPPYな顔になる。これは絶対に脳にも身体にもよいはずだ。
もうあきらめていた旅行にだってVRの世界だったら行ける。昔のそこにだって行ける。登嶋さんは今でも色々なところに旅に出てはその風景を撮影してまわっている。

あるときから登嶋さんは新しい発見をする。VRのゴーグルをつけて見ていた高齢者の方々でも自分で撮る側にまわれるんじゃないかってこと。撮りたいとおっしゃる方々も出てきた。

元気な高齢者がカメラマンをして、動くのが大変な高齢者が見る側にまわる。全国にたくさんいる元気な高齢者がカメラマンになってくれたら、ここの町の路地裏なんていうところまで網羅できるようになる。実は、観光地みたいなところもリクエストはあるのだが、なんでもない「ここの街のこの橋の上」なんていう普通の町並が懐かしかったりするのだ。そんなシステムが作れたらいいなと思って活動しているらしい。


360度カメラの映像


それで、最初に戻るわけだけど、東大のワークショップはそのアクティブシニアと呼ばれる好奇心旺盛な方々が360度カメラの撮影方法を習ったり最新の映像機材なんかを体験させてもらっている。

行けなくなったいろいろな地をVRで見るだけで満足と思っていたが、やっぱり自分で撮りたくなってくるから不思議だ。地道に学びに行っている。なかなか旨くいかなくてがっかりもするのだけれど、妻は「こうして外に出る機会を作ってくれているだけでも感謝だわ」という。

外でカメラを片手に散歩する機会はそれだけでもボクにとってプラスであるのは一目瞭然だ。誰かの役に立てるかもしれない。自分のためにもいい。共通の話題でそこにいるメンバーと盛りあがれる。しばらくはここで脳を動かしたいと思っている。

登嶋さんのホームページ・ツィッター

著者紹介

神足裕司(こうたり ゆうじ)

1957年8月10日、広島県広島市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代からライター活動を始め、1984年、渡辺和博との共著『金魂巻(キンコンカン)』がベストセラーに。コラムニストとして『恨ミシュラン』(週刊朝日)や『これは事件だ!』(週刊SPA!)などの人気連載を抱えながらテレビ、ラジオ、CM、映画など幅広い分野で活躍。2011年9月、重度くも膜下出血に倒れ、奇跡的に一命をとりとめる。現在、リハビリを続けながら執筆活動を再開。復帰後の著書に『一度、死んでみましたが』(集英社)、『父と息子の大闘病日記』(息子・祐太郎さんとの共著/扶桑社)、『生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた』(妻・明子さんとの共著/主婦の友社)がある。 朝日新聞月曜朝刊「コータリンは要介護5」連載中。

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