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健康コラム

くも膜下出血から奇跡の生還を果たし、リハビリを続けながら執筆活動を行うコラムニスト・神足裕司が日常をつづっていきます。

映画館

今日は映画館の話をしようと思う。

ボクは、以前は映画の批評を書いていたぐらい映画好きだった。

が、病気になってからほとんど見なくなった。一人で劇場にいけないこともあるけれど、車椅子の席がとても見づらい位置にあるということもある。

それでも、部屋でテレビモニターで見るよりは数百倍いいに決まっている。音だって画像だって全然違う。だから映画館にいく。

最近の映画館に代表されるように、大体が側面側の通路を通って客席にいく。一番下のほうから入って階段で上のほうの座席にあがるシステムだ。そうなると必然的に車椅子は、通路の入り口に入ってすぐの前方サイドになることが多い。一番前のこともあるし、まあ2、3列目のサイドが多い。サイドは車椅子の座高が高いので後ろのお客さんへの配慮。あたりまえだ。

が、贅沢を承知で言わせてもらえば車椅子に座って一番前から見るスクリーンは、のけぞりでもしなければ本当に見づらいのである。

大画面になればなるほど。車椅子の座面の高さは普通の座席の10数センチの高さの違いだろうけれど人間工学的にどうかしていると思うほどなのだ。しかもなぜか隣に普通席がないことが多い。移ろうにも移れないし介助の人間が隣に座ることもできない。デートで隣同士に座ることもできないことが多い。

映画に来る障害者はある程度自立している設定なんだと思う。

よくボクの家族は1列後ろの座席から、通路を挟んだ斜め隣からちょっと離れたところでボクを見てて、のけぞって落ちるんじゃないかとひやひやしたなんて言っている。

映画館に限らずお芝居を見にいくときもコンサートを見にいくときも、車椅子席は通常チケットを買ってのちほど車椅子席に交換、なので連れの人間はもともとの当選した座席で見てください、別々の席になりますっていうのが普通のパターンだと感じる。

それがだ、ジャニーズのコンサートはそれと違って車椅子の人がいる申し込み席、小さな子どもや高齢者がいるので立たないで応援する席、なんていう分けかたがされていて驚いた。

ディズニーランドの劇場の座席も、歯抜けのように通常の椅子2席とか3席とかの次に車椅子を置くなにもない部分とかがぽつぽつある。ちょっと後ろ目。席の後ろの人にも車椅子の高さが気にならない設定になっている。しかも目の見えない人に点字プレートや、言語の違う方々にイヤフォンガイドまで用意されている。

一般の方からはほとんどわからないが普通に自然にそれらは行なわれている。こうした本当に考えられているなあと感心する施設だってある。本当の意味でかなり考えてくれないとこうはならないと思う。

これから、オリンピック関係の観客席や新しい施設を作るときバリアフリーって名前だけのものでなくて、心のこもった誰もが使いやすいユニバーサルデザインを目指してほしい。

設計している方はぜひ車椅子に座ってその席から映画を見てみてほしい。

ほんとは「ボヘミアン・ラプソティー」のことを書こうと思ったんだけど違う話にそれちゃいました。その話はまた今度。


著者紹介

神足裕司(こうたり ゆうじ)

1957年8月10日、広島県広島市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代からライター活動を始め、1984年、渡辺和博との共著『金魂巻(キンコンカン)』がベストセラーに。コラムニストとして『恨ミシュラン』(週刊朝日)や『これは事件だ!』(週刊SPA!)などの人気連載を抱えながらテレビ、ラジオ、CM、映画など幅広い分野で活躍。2011年9月、重度くも膜下出血に倒れ、奇跡的に一命をとりとめる。現在、リハビリを続けながら執筆活動を再開。復帰後の著書に『一度、死んでみましたが』(集英社)、『父と息子の大闘病日記』(息子・祐太郎さんとの共著/扶桑社)、『生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた』(妻・明子さんとの共著/主婦の友社)がある。 朝日新聞日曜朝刊「コータリンは要介護5」連載中。

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