文字サイズ
  • 文字サイズ大
  • 文字サイズ小
広島国際大学医療栄養学部開設記念講演会

介護食にも“食べる”楽しみを!

『凍結含浸法』

動画① 「介護食にも“食べる”楽しみを」


はじめに


広島国際大学医療栄養学部の坂本宏司教授

噛む力、飲み込む力が衰えてしまった方には、刻み食やミキサー食が食事に取り入れられています。安全性や栄養面ではすぐれた食事かもしれませんが、食べ物の色や形が失われてしまった食事を毎日三食食べなければならないと想像してみると、食事を楽しんでいると言えるでしょうか。

広島国際大学医療栄養学部の坂本宏司教授は、広島県在職中に、食材の見た目、色、形をそのままに、きわめて軟らかく調理する方法『凍結含浸法』を開発されました。2014年7月21日、広島国際大学医療栄養学部開設記念講演会『介護食にも“食べる”楽しみを!』が、同大学呉キャンパスにて行われ、医療・介護の現場から、またキャンパス見学に訪れた高校生らが大勢聴講しました。

「食べる」ということ

「食べる」という行為には、まず「目で見る」「においをかぐ」「認識する」「噛む」「飲み込む」など様々な所作が含まれます。彩どりの良さや美味しそうな匂いで食材を認識し、味覚を楽しむ…美味しいと感じる幸せは「快感」であり、その「快感」が栄養摂取や代謝、免疫に与える影響は大きいのです。

「噛む」「飲み込む」等の動作が困難になると、食べられなくなり、栄養を吸収できなくなり、体力、免疫力の低下につながります。食べたものや唾液が誤って肺に入って炎症を起こす誤嚥性肺炎も深刻な問題です。それらを避けるため、胃に穴を開けて食べ物を直接流し込む「胃ろう」を行う場合がありますが、そうすると使わなくなった器官は退化していきます。

現在、我が国では来るべき超高齢化社会に備え、「噛む」「飲み込む」力が衰えた人でも、食材の形や色を楽しんで「快感」を感じ、食べる楽しみ、生きる喜びを感じるための介護食の研究が急ピッチで進んでいます。介護食の製造技術は、我が国がトップクラスです。なぜかというと、日本人の“食”に関するこだわりは、世界でもトップクラスだからです。味だけでなく、見た目や食感、季節感にも日本人はこだわります。「美味しいものを最期まで食べたい」という欲求を満たすため、様々な研究が進んでいます。すでに、安全性や栄養面で優れた介護食は開発が進んでいます。今後の課題として、介護食にも「食の質」すなわち食べる楽しみ、生きる喜びを追求することが求められる時代に来ています。

凍結含浸法とは

「凍結含浸法」は、食材の見た目はそのままに、咀しゃく嚥下の難しい人でも食べられるほど軟らかく調理することができる、画期的な手法です。広島県で特許を取得しています。すでに、県内外の介護施設で導入されつつあり、「21世紀の介護食」として大きな注目を集めています。
調理の工程は、下記の4ステップです。

①前処理

食材の皮むき、カット、下ゆでなどを行います。未調理の食材だけでなく、調理済みのハンバーグや卵焼きなども、凍結含浸に用いることができます。

②凍結・解凍

水は、氷になると体積が増します。食材を凍らせることで、細胞と細胞の間に隙間ができます。(家庭用の冷凍冷蔵庫が使えます)


提供:広島県立総合技術研究所 食品工業技術センター

③減圧・含浸

果物が熟す時に発生する酵素(ペクチナーゼ)は、食材を軟らかくする効力があります。②の段階で生じた隙間に、この酵素液を染み込ませます。☆この工程には、真空装置や真空包装機が必要です。

④加熱・軟化

殺菌も兼ねて加熱します。酵素の働きが失われる温度まで加熱することにより、ちょうど良い硬さまで軟らかくする調節が可能です。

なぜ軟らかくなるのか、どこまで軟らかくできるのか


写真提供:広島県立総合技術研究所 食品工業技術センター

メロンや柿などの果物は、熟すと軟らかくなります。これは、果物が熟すと、細胞と細胞をつなぐ糊の役割をしているペクチンという物質を分解する「ペクチナーゼ」という酵素を分泌し、細胞と細胞が離れてしまうからです。

凍結含浸法では、食材を凍結させることで水分を膨張させ、細胞と細胞の間に隙間を作り、そこに食材を軟らかくする酵素や調味料、栄養成分などを浸透させていきます。この物質を食材に導入する過程に、「真空冷却機」や「真空包装機」が必要になります。

野菜、根菜などは酵素の力でどんどん軟らかくなっていきます。最後に、殺菌をかねて湯せんやスチームコンベクションオーブンなどで加熱し、酵素の働きを止めます。この加熱のタイミングを調節することで、食材をどこまで軟らかくするか、決めることができます。凍結含浸法のもう一つの特徴は、食事をする人の障害の程度により、軟らかさを調節することが可能と言うことがあげられます。

栄養成分はどう変化するか

家庭料理において、食材を“加熱する”ということは、食材を軟らかくしたり、調味するという目的があります。この加熱時間が長いと、栄養成分の中には熱によって分解されてしまうものもあるので、栄養素が失われてしまうものもあります。

しかし、凍結含浸法では、加熱時間が非常に短いので熱により栄養素が失われることは少なくて済みます。また、加熱による色の変化も防ぐことができ、色鮮やかな調理が可能です。さらに、酵素と一緒に補助的な栄養素なども浸透させることができるので、栄養価を上げることも可能です。

食べる喜びを取り戻す


写真提供:広島県立総合技術研究所 食品工業技術センター

すでに凍結含浸食を提供している介護施設からは、入所者の食事時間が短くなった、食べ残しがなくなり栄養状態が改善した、胃ろうから経口に戻った、という報告が寄せられています。食が困難になり、食への意欲を失った方々の生きがい回復にもつながっています。(「広島発!凍結含浸法ガイドブック」より抜粋)

凍結含浸法について、もっと知りたい方に

動画② 凍結含浸食の提供事例紹介と試食のようす

実際に凍結含浸食を入所者の食事に取り入れている、社会福祉法人あと会の管理栄養士 前西政恵さんによる事例紹介が行われ、その後参加者による試食会が行われました。



RCC情報
会社情報 採用情報 個人情報保護への取り組み 著作権とリンク 情報通信セキュリティ方針国民保護業務計画ご意見・ご感想
関連会社
RCC文化センターRCCフロンティア|オレンジシステム広島|中国新聞グループwebJNN系列放送局
PR
RCC中古車展示場MEGARCCリフォームセンター
広島県日韓親善協会
Copyright (C) RCC BROADCASTING CO.,LTD. All rights reserved.