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冬季うつ病について


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放送日

放送:2016年12月7日(水)
ゲスト:心療内科クリニック リュミエール 片山真一医師
パーソナリティ:おだしずえ、井筒智彦

冬季うつ病について、心療内科クリニック リュミエール 片山真一院長にお話をうかがいました。

今回のポイント

  1. どうして冬に気分が落ち込んだりするの?
  2. 冬季うつ病を予防するコツは?

冬は寒いし、天気も曇りがちだし、気持ちがのってこない・・・そんな人も多いと思うのですが。

これから寒くなり冬本番へと向かう時期ですが、1年間でこの時期にだけ気分が落ち込んだりする症状が現れる人がいます。冬は寒いし、天気も曇りがちというネガティブな環境が、部屋にこもりがちにさせ、冬の気分の落ち込みに拍車をかけてしまう事もありますが、あまりに程度がひどい場合は、冬季うつ病、ウィンターブルーかもしれません。

冬季うつ病、普通のうつ病とは、違うのでしょうか?

冬季うつ病はまだ病名がついて20数年という、新しい概念の病気なのですが、 だいたい11月~12月ごろにうつ症状が発症し、3~4月の春前後で症状が穏やかになってくるという、冬にうつ症状があらわれる病気です。うつ病の一つのタイプなので、気分の落ち込みや、焦燥感、倦怠感、集中力の低下などの共通の症状もありますが、特徴的な点もいくつかあります。

冬季うつ病、普通のうつ病とは、違う、ということですね。では違いを具体的に教えてください。

冬季うつ病は、ひとつは、女性に多いタイプのうつ病だと言うことです。うつ病は元々女性に起こりやすい疾患であり、その性差は男女比が1:2 (男性:女性=1:2) 程度だと言われていますが、冬季うつ病では男女差が更に顕著で、男女比が1:4 (男性:女性=1:4)以上だと言われています。また名前の通り、秋~冬にかけて、日照時間が短くなり寒くなってくる季節に発症するのが特徴です。逆に、春~夏にかけて日照時間が多くなり暖かくなると自然と改善してくるのが一般的です。
しかも、症状の出現は1度だけでなく、「毎年、冬になるとうつっぽくなる」というように周期的にうつ症状がやってきます。さらに、一般的なうつ症状である抑うつ気分や疲労感などに加えて、特徴的な症状も目立ちます。具体的には冬季うつ病では過眠や過食が高い割合で認められることが知られています。
人間の脳と身体は、明け方に体温が上がるにしたがって覚醒します。しかし、冬は気温が低いため、朝になってもなかなか体温が上がりません。体温が上昇しなければ、覚醒状態になるまでに時間がかかります。その結果、睡眠時間が長くなるのですが、これは自然なことです。
しかし、ほかの季節と比べて何時間も睡眠が長く、生活に差し障るほど日中眠い場合は要注意です。

冬季うつかどうか、セルフチェック項目があれば教えてください。

ここ数年のことで考えてください。以下の①~⑥について、秋から冬になると自身の感覚として「少し増える」と思うものは1点、「かなり増える」と思えば2点として点数を付けてみて下さい。

睡眠時間の長さや日中の眠気少し増えるかなり増える
人付き合いの億劫さ少し増えるかなり増える
不安、イライラ少し増えるかなり増える
体重の変化少し増えるかなり増える
食欲、特に甘い物の量少し増えるかなり増える
活動性の低下少し増えるかなり増える

3点以下なら正常範囲、4~6点は 冬季うつの前段階、7点以上は冬季うつの可能性があるかもしれません。

はかせ
ぼくは0点でした!まったく当てはまりませんでした。
しずえ
私、10点でした。冬は甘いものが食べたくなるし・・・
ドクター
しーちゃんは、ちょっと心配かもしれませんね...。

ではここで、冬季うつ病の原因について教えてください。原因は何なのでしょう?

冬季うつ病の明確な原因は分かっていませんが、一つの可能性として、日照量不足ではないかと考えられています。例えば、冬季の日照時間が顕著に短い北欧のフィンランド、スウェーデンや、極寒の地アラスカなど、緯度の高い地域では、冬季うつ病の発症率が他の地域より高いことが知られています。通常、人口の1%程度のうつ病発症率に対して、高緯度の地域では人口の5%近くか、それ以上の発症率になっています。これは、日光とセロトニン・メラトニンの関係で、ある程度説明できます。

セロトニン・メラトニン・・・以前出てきましたね? まず日光とセロトニンの関係についてお願いします。

8月のおひるーなクリニックでも「幸せホルモン」としてご紹介したセロトニンです。
「脳内神経伝達物質」と呼ばれる脳内の神経間の情報伝達を担当する物質のひとつでしたね。
セロトニンはストレスによる脳疲労を防ぎ、精神を安定させたり、満腹感を与え過度な食欲を抑えたり、集中力を増進させるなど、生活していく上で欠かせない物質です。
このセロトニンは、ほとんど日中の間のみ分泌され、しかも太陽の光を浴びるとその作用が増強されます。つまり、日照時間の少ない冬場にはおのずとセロトニンの分泌量や作用が減弱してしまい、気分的な不安定や気分の落ち込みが生じやすくなるわけです。
またセロトニンが不足すると、適度な満腹感が得られないため、過食して体重増加がみられます。甘いものが欲しくなるのも、セロトニンの原料であるトリプトファンが甘いものを食べたときに優先的に脳内に取り込まれ、一時的に、セロトニンを補おうとしているからと考えられています。
しかし、甘いものばかりを続けて食べていても、トリプトファンがすぐに枯渇するため、セロトニンが生成できなくなります。

では、日光とメラトニンの関係についてお願いします。

メラトニンは別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、夜になると自然に眠くなる睡眠リズムを作る役割を持っています。明るい日中には分泌されず、起床し、朝日を浴びてから14~16時間後の夕方以降に脳の松果体から分泌されるようになります。
メラトニンのおかげで「日中に起きて、暗くなったら休む」という睡眠リズムが作られているわけです。たくさん太陽光を浴びるほど、日中のメラトニンはしっかりと抑制され、夜間のメラトニンの分泌量が増え、規則正しい睡眠リズムを作ることができます。
しかし、日中に浴びる太陽光の量が少ないと、夜になってもメラトニンがあまり分泌されません。すると、夜の睡眠が浅くなったり体内時計がずれたりして、日中に眠気をもよおしたり、倦怠感を伴いやすくなってしまうのです。一度睡眠リズムが狂うと、体内時計がずれて日中の調子が出なくなったりもします。
冬季うつ病の人は、長時間寝ているつもりでも睡眠の質が下がっているので、体調もスッキリしないことが多くなるということです

では、冬季うつ病の治療法を教えてください。

高照度光療法(こうしょうどひかりりょうほう)というのが有名です。
冬季うつ病の代表的な治療法で6~7割の人は、専用の高照度光照射装置を用いた治療で改善するともいわれています。2500~1万ルクスの照度で2~3時間当たるのが標準的な治療法です。

では、冬季うつ病の予防法を教えてください。

日光に当たる生活を心がける

冬季うつの症状は、日光に当たる時間が長くなれば軽快する傾向があります。
日光があまり射さない部屋に引っ越してから体調を崩すということもあるようです。
朝、30~60分ほど散歩しながら太陽の光に当たると、メラトニンの分泌が抑えられ、夜間のメラトニン量も増える効果があることが知られています。太陽光でセロトニンも増強され、メリハリの利いた一日となります。

早寝早起きする

冬こそ早寝早起きを心がけ、自分が感じる日照時間を減らさないようにしましょう。広島だと真冬でも7時ころには明るくなってきます。冬こそ夜は早めに寝て、朝は敢えて7時ころから活動し、日に当たる時間を減らさないようにしてみましょう。朝早起きして活動することはうつ病予防だけでなく、能率アップにもつながります。疲れが出ている夜中に残業するよりも、しっかり休んだ朝のほうがセロトニンを分泌させることができるので、情緒が安定し頭の回転もよく仕事を効率よく進められます。

食事を工夫する

①栄養バランスの取れた食事をする
栄養バランスの取れた食事を心がけつつ、セロトニンを作る材料となるトリプトファンやセロトニンの分泌を促すビタミンB6を多く含む食品を積極的に摂るようにしましょう。
☆トリプトファンが豊富な食べ物:赤みの魚、バナナ、チーズやヨーグルトなどの乳製品、アーモンドやひまわりの種などのナッツ類、納豆や豆乳、豆腐などの大豆食品、そば、イクラやタラコなどの魚卵
☆ビタミンB6が豊富な食べ物:レバー、肉類、魚類、ナッツ類、特にピスタチオ

②腸内環境を整える
腸の中にはたくさんの腸内細菌(腸内フローラ)があり、これらが作り出す酵素が
トリプトファンの吸収に深く関わっています。便秘や下痢などの腸のトラブルがあるとせっかく摂取したセロトニンの材料が使われずに排出されてしまいます。上で紹介したセロトニンを増やす食べ物とあわせて、腸内環境を整える食べ物も摂取するようにすることが大事です。
腸内環境を整える食べ物としては
☆食物繊維を多く含む食べ物:野菜、果物、きのこ類、海藻類
☆乳酸菌を多く含む食べ物:乳製品(チーズ、ヨーグルト)、発酵食品(漬物や味噌)

しずえ
わかりました。冬季うつという病気のことを知っておくことが、冬を元気に乗り切るヒントになりそうですね。
ドクター
寒くなると、動物が冬ごもりの準備をするかのように、暖かい部屋へこもって、出かけるのが億劫になりがちです。そのことがすぐに冬季うつ病の予備軍とは言えませんが、冬季うつ病のことやその予防策を知っていただくことで、理に適った方法で、活動的に冬を乗り越えるヒントになればと思います。

まとめ

  1. 冬は日照時間が短いので、日照不足によりセロトニン、メラトニンの分泌が不足すると、気分の落ち込み、イライラなどが起こってくる。
  2. 冬こそ早寝早起き、朝型の生活がよい。
  3. 魚、乳製品、大豆などを積極的に取るとよい。

関連タグ: うつ ラジ 心療内科 片山先生 

ドクターデータ

片山 真一(かたやましんいち) 医師

心療内科クリニック リュミエール 院長。
おひるーなクリニックの偶数月第1水曜日担当ドクター。

施設名心療内科クリニック リュミエール
住所広島市中区西白島町20-15 メディカルプラザ西白島1F
電話082-212-2000
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