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「治る認知症」について


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放送日

放送:2017年2月1日(水)
ゲスト:心療内科クリニック リュミエール 片山真一医師
パーソナリティ:おだしずえ、井筒智彦

認知症の中でも、「治る認知症」について、心療内科クリニック リュミエール 片山真一院長にお話をうかがいました。

今回のポイント

  1. 認知症と物忘れの違いは?
  2. 治る認知症がある?

最近、ニュースやテレビの健康番組を見ても、認知症に関する話題が多いですね。認知症の方は実際どのくらいいるのでしょうか?

2015年の厚生労働省のデータによると、2012年時点で認知症の人は約460万人でした。さらに、この数が、2025年には700万人に達するとの推計値も発表しています。これは65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症に罹患する計算となるようです。

基本的なところから教えてください。そもそもこの認知症はまず何科に相談したらいいんでしょうか?

当院のような心療内科や精神科でも診察しますし、脳神経内科や脳神経外科でも診察します。最近では「物忘れ外来」や「老年内科」といった専門的な外来もあります。ただ、確定診断するためには、頭部CTやMRIの検査が必要な場合が多いのでそういった検査施設がある病院にまずはかかられるのがいいと思います。

認知症の症状といえば物忘れが浮かぶんですが、老化に伴う単なる物忘れと違うとも聞きます。認知症の物忘れと単なる物忘れは、実際どう違うのですか?

誰でも年齢とともに、もの覚えがわるくなったり、人の名前が思い出せなくなったりしますが、
認知症は「老化によるもの忘れ」とは違います。認知症は、何らかの病気によって脳の神経細胞が機能しなくなるために起こる症状をいいます。

認知症チェックリスト

単なる物忘れの場合
  • 体験の一部を忘れる(ごはんを食べたあと、食べたものを忘れる)
  • 物忘れの自覚がある(忘れていた事に自分で気がつく)
  • 親しい人やよく行く場所は忘れない(家族や自宅の場所は忘れない)
  • 性格は変わらない(態度に変化はみられない)
  • 自分の今いる場所や時間がわかる(自分がどこにいるかわからなくなることはない)
認知症の場合
  • 体験の全てを忘れる(ごはんを食べたあと、ごはんを食べた事を忘れる)
  • 物忘れの自覚がない(忘れていることを理解できない)
  • 親しい人やよく行く場所がわからなくなる(家族や自宅の場所がわからなくなる)
  • 性格に変化がある(怒りっぽくなったり、頑固になったりする)
  • 自分の今いる場所や時間がわからなくなったりする

認知症と聞くと、進行性の病気で、治らない・・・というイメージがあるのですが。

認知症の原因はさまざまで、脳の神経細胞が、なんらかの原因でしだいに壊れていってしまうことによって起こるアルツハイマー型認知症レビー小体型認知症、脳の血管がつまることによって脳の機能が低下し、認知症の症状が現れる脳血管型認知症などあります。実際、これらの認知症は完治させる治療法はまだ研究中で、認知症症状の進行をゆっくりにしたり、対処療法的な治療をする場合が多いのが現状です。

ただ、そんな認知症の中でも、「治る認知症」と呼ばれるものがあります。
例えば、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫という病気は認知症のような症状を認めますが、これらは外科手術等によって治療できる可能性があります。今日はそれらの特徴的症状についてお話をさせていただこうと思います。

ではまず治る認知症1つめ「正常圧水頭症」について教えてください。

≪治る認知症① 正常圧水頭症≫
頭の中や脊髄の表面にはそこを流れる、脳脊髄液と呼ばれる液体があるのですが、大脳の中心にある脳室と呼ばれる場所に過量に溜まり、周りの脳を圧迫することで、歩行障害、意欲の低下、排尿が間に合わないなどトイレの問題などが出る病気、これが「正常圧水頭症」です。認知症の症状で困っている高齢者の、5%~10%にこの正常圧水頭症があるのではないかと考えられています。

どのように進行していくのか。詳しく特徴を教えてください。

正常圧水頭症では、まず歩行障害がみられ始めるといわれています。しかも特徴的な歩行障害で、足を開くように歩く「がに股歩き」になり、「まるでチャップリンのようだ」と表現されるような特徴的な歩き方になる事が多いようです。この特徴的な歩き方から早期発見も可能だと言われています。
その後、認知症の症状が出ますが、記憶障害よりも、集中力や注意力の低下の方が目立ちやすくなります。何もしないでボーっとしていたり、声かけに反応が遅かったりするなど、意識レベルの低下などが起こる事が多いようです。
さらに続いて、尿失禁が見られる事があります。尿失禁は切迫性である場合が多く、尿意を感じてからトイレに行こうとしても、我慢が出来る時間が短いために、間に合わず失禁となります。また尿の回数も増え、何度もトイレに行くようになる事もあります。
正常圧水頭症と分かれば、頭の中に溜まって吸収出来なくなった脳脊髄液を、シリコンの管を通して他の場所に流れるようにする「シャント術」と言われる治療を脳神経外科で行います。この治療で歩行障害は、9割近い改善が見られています。

では、治る認知症2つ目「慢性硬膜下血腫」について教えてください。

症状としては、頭痛や吐き気、半身麻痺やしびれ、言葉がうまくしゃべれない、意欲低下や物忘れなどの精神症状といろいろな症状がでます。時として急激な意識障害や麻痺で発症し,さらには生命に危険を及ぼす場合もあります。
特に高齢者では、物忘れや意欲低下などの精神症状だけが発症する慢性硬膜下出血もあります。2-3か月レベルの間に急速に認知症の症状が現れたり、悪化した場合には、この病気を疑うことが重要です。
治療としては、血腫が少ない場合は自然に吸収することもありますが、症状が進んでいる場合は、手術でこの血のかたまりを除去します。脳神経外科で局所麻酔でできる比較的安全な手術です。

これらの2つの「治る認知症」については頭部CTやMRIによって診断が可能な場合が多く、認知症を疑う場合は、まずはこういった検査のできる病院を受診なさることをお勧めします。

認知症は本人や家族が大きな悩みを抱える病気だと思いますが、先生から最後に一言、お願いします。

認知症は高齢化社会に向かっている現在、身近な病気になり、ご本人もご家族も対応に困っている場合が増えています。ご家族に認知症を疑う症状を認めた場合は、ご家族だけで抱え込むのではなく、まずは、各地域の相談窓口である「地域包括支援センター」に相談してみて下さい。各自治体が設置する高齢者福祉の相談窓口です。保健師、社会福祉士、介護支援専門員が相談を受け、介護だけでなく福祉、健康、医療など様々な分野から総合的に高齢者とその家族を支える機関です。高齢者ご本人はもちろんのこと、家族や地域住民の悩みや相談を、地域包括支援センターが中心になって適切な機関と連携して解決してくれます。

まとめ

  1. 認知症と物忘れは違うと認識する
  2. 認知症には、「治る認知症」があることを知る
  3. 認知症は家族だけで抱えず、「地域包括支援センター」などの機関を利用する

関連タグ:認知症 ラジオ 心療内科 片山先生 

ドクターデータ

片山 真一(かたやましんいち) 医師

心療内科クリニック リュミエール 院長。
おひるーなクリニックの偶数月第1水曜日担当ドクター。

施設名心療内科クリニック リュミエール
住所広島市中区西白島町20-15 メディカルプラザ西白島1F
電話082-212-2000
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