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認知症の予防


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放送日

放送:2017年6月7日(水)
ゲスト:心療内科クリニック リュミエール 片山真一医師
パーソナリティ:おだしずえ、井筒智彦

片山先生には認知症について、前回、前々回と教えていただきました。
認知症には「周辺症状」というのがあって、本人が元々持ち合わせている性格や環境の影響を受けて派生的に表れる症状ということでした。いくつか個別のケースを紹介いただきました。

今回のポイント

  1. 物盗られ妄想への対応は?
  2. 認知症を予防する生活週間は?

今日も個別のケースをひとつ、ご紹介いただけますでしょうか?

物盗られ妄想があります。
物盗られ妄想は、認知症の初期に多い症状で、特に女性でアルツハイマー型認知症の人に多く見られるようです。認知症の中核症状である記憶障害に、不安や孤立感なども絡んだ結果起きてしまう、周辺症状です。

例えば、大切に思い自分で財布を隠した時。認知症の方は、隠した場所や隠したこと自体を忘れてしまうのですが、自分が忘れたという自覚はありません。認知症の人には、自分にとって不利なことは認めない傾向がありますから、財布が見つからないと「誰かが盗った!」と言って、人のせいにするようです。誰も盗っていないことをどんなに説明しても、わかってもらえないことが多いと思います。

こんな時、家族はどう対応したらいいのでしょうか?

そんな時の家族の対応として、まずは、しっかり話を聴いて、落ち着かせてあげてください。認知症の人は自分の言うことを否定されると、不安を強くして頑なになってしまうだけです。否定しないでいっしょに探してあげることが大切です。

もし、探している途中で財布を見かけたら、認知症の人が自分で見つけたように誘導してあげるのもいいでしょう。また、見つからない場合は、気持ちを他のことにそらすように、「お茶でも飲んでから、ゆっくり落ち着いて探しましょう」などと声を掛けてみることもひとつの方法です。

もちろん、いくら認知症であるとわかっていても、家族が泥棒呼ばわりされて冷静でいられないことがあっても当然と思います。そんな時は、家族の方がひとりで抱え込まないように、悩みを聞いてもらえる身近な親しい人との交流の機会を持つように心がけることも大切です。

さまざまな症状がある認知症。周りの人の心構えを教えてください。

認知症の人達の不可解な行動を、徘徊・暴力・暴言などと一言で片づけて、ご本人を責めてしまいがちです。しかし、こういった行動は病気や症状のせいであって、ご本人のせいではありません。不可解な行動の裏側にある不安感や焦燥感からくるものだという事を理解してあげてください。ご本人を責めるのでなく、おおらかな優しい気持ちで接しながら、行動の裏側にある本人の気持ちを考えながら対応してください。

ではここから予防についてお聞きします。対策はあるのでしょうか。

認知症は年々患者数が増えつつあり、だれでもかかりうる病気です。今のところ認知症を完全に回避する方法はありませんが、適切な予防策によって認知症にかかりにくくすることができます。例えば、最も多い認知症タイプであるアルツハイマー型は、70歳頃からの発症率が高いのですが、45歳頃から原因物質であるアミロイドベータの蓄積が始まっているといわれています。そういう意味でも45歳を過ぎたら認知症予防を始めましょう。
今回は認知症予防の6つの対策を紹介します。

認知症予防の6つの対策

1.バランスのとれた食生活を心がける

認知症のなかでも患者数の多いアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症では、生活習慣病(高血圧、糖尿病、肥満、脂質異常症等)が発症のリスクを高めることがわかっています。

積極的に摂るべき食品

全粒の穀物…1日3回
精製されていない穀物の事です。ホールグレインとも呼ばれています。精製されたものと比べて、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、不足しがちな栄養が豊富に含まれていることや、食後の血糖値の上昇が緩やかなのがよいといわれています。

緑黄色野菜、根菜類…それぞれ1日1回以上
野菜に豊富に含まれる、ベータカロチンや抗酸化ビタミン(ビタミンCやビタミンEなど)は、認知症の予防に効果的だと言われています。

赤ワイン …1日1杯(300ml程度まで)
ポリフェノールの抗酸化作用が認知症予防に効果的といわれています。そういう意味では、コーヒーやココア・緑茶・紅茶・ウーロン茶、バナナ・ぶどう・マンゴーなどの果物でも代用可能です。

ナッツ …1週間に5回以上
硬いナッツをそのまま食べるのは無理な場合でも、すりつぶしたものやペースト状にしたもの、またはココナッツオイルなどをうまく取り入れるといいでしょう。

豆類  …1週間に3回以上
日本人がよく食べる大豆のほかに、地中海でよく食べられているひよこ豆を取り入れてみましょう。ひよこ豆はタンパク質やミネラル、ビタミンBやビタミンEが豊富に含まれています。また、大豆よりもカロリーが低いのも魅力です。

鶏肉  …1週間に2回以上
赤味の肉は避けた方がいいと言われていますが、複数の研究によって鶏肉に含まれるビタミンB群が認知症予防に効果的であることがわかっています。また、ビタミンB群は赤身の魚にも多く含まれている成分です。

ベリー類…1週間に2回以上
ブルーベリーやクランベリーなどには、ポリフェノールやアントシアニンなどの抗酸化物質が豊富に含まれています。

   …1週間に1回以上
特にサバやイワシ、サンマなどの青魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富に含まれており、コレステロールの値を下げ、血液をサラサラにする効果があるため、認知症のリスクを高める生活習慣病の予防や改善が期待できます。

食用の油にはオリーブオイルを優先的に使う
オリーブオイルに豊富に含まれるオレイン酸にも、血液をサラサラにしてくれる作用があります。特にエクストラバージンオイルに、このオレイン酸が豊富だと言われています。また、エクストラバージンオイルに含まれる抗酸化物質オレオカンタールが、アルツハイマー型認知症を引き起こすとされている、アミロイドベータを減らす効果があるという報告がされています。

制限する食品
  • 鳥肉以外の肉…週4日以下
  • バター… バターであれば1日に大さじ1杯未満。マーガリンはNGです。
  • 甘いお菓子類… 1週間に1回以下
  • 揚げ物… 1週間に1回以下
  • ファストフード…1週間に1回以下

2. 定期的な運動+脳トレーニング

運動は脳の血流をアップし、認知機能を向上させ、認知症のリスクを減らすことがわかっています。特に、ウォーキングなどの有酸素運動は記憶力を高める効果があることが多くの研究で明らかとなっています。さらに、この有酸素運動と、脳に負荷をかける脳トレーニングを同時に行うと、記憶力が向上し認知症予防が期待出来ることが分かっています。

有酸素運動

ウォーキングは、腕を後ろに大きく振ると、自然に歩幅が広がり運動効果が高くなります。

階段上りは、公園など、傾斜が緩やかで幅が広く、手すりがあるような場所で安全に気を付けてやってください。

つま先立ち、かかと上げ運動もいいです。家の中でいつでも簡単にできます。

体力に自信のない方は椅子に座ったままでもOKです。足は肩幅程度に広げ、かかとを挙げて、つま先立ちになります。テンポは「1・2・3・4」でかかとを上げ、「5・6・7・8」で下げます。
これによってふくらはぎの筋肉を鍛えることができます。安全に注意して、できるだけかかとは高く上げるようにしてみてください。

脳トレーニング

50音を3語で区切る 
「あいう」「えおか」「きくけ」……と唱えてみましょう。普段慣れてない区切りで脳は混乱します。この混乱が脳トレーニングになります。

「曜日の逆唱」
1日前の曜日を唱えてみましょう。火曜日→月曜日→日曜日→土曜日……。
慣れてきたら、今度は2日前の曜日を唱えていきましょう。火曜日→日曜日→金曜日→水曜日……。

「100からの引き算」
100から7ずつ引いていくと93、86、79、72・・・
何度もやっている内に答えを暗記してしまうので、今度は8ずつ引いていくとか、引き算する。数字はどんどん変えて脳を働かせましょう。

先ほどの有酸素運動と、脳トレを組み合わせて、運動と脳トレを同時に行ってみましょう!
このとき大事なのは、間違っても運動はやめずに動きながら続けること!頭を使うと体の動きが混乱するのが普通です。この2つを同時に行うことで脳のトレーニングになり、これが脳の委縮を防ぐと考えられています

3. 人と積極的に交流すること

一人暮らしで閉じこもりがちの生活をしていると、コミュニケーションによる脳の刺激が少なくなり認知症のリスクが高まります。「仕事を辞めると急に老け込む」と言われるのもこのためです。
ボランティアや趣味のサークル活動に参加したり、友人や親族と週1回以上会って楽しい話をするなど、人との積極的な交流が認知症の予防になります

4. ストレスをため込まないこと

ストレスも認知症の原因の一つと考えられています。配偶者の死等、強いショックが過度のストレスとなりそれが引き金となって発症するケースもありますし、ストレスは本当に万病のもとなのです。
ストレス解消には、セロトニンという物質が増えることで解消されるようです。セロトニンの増やし方については以前、このコーナーでも詳しく話させていただきましたが、腸内環境を整える、リズム運動をする、よく笑ってよくしゃべる、etc.ありましたね。このことは認知症予防にもつながっているようです。

5. 知的な行動を意識した生活をする

「新聞・雑誌を読む」「囲碁や将棋をする」「日記を書く」「絵を描く」「認知トレーニングをする」など、頭を使う活動は脳を刺激し、老化予防に役立ちます。様々な新しいことにチャレンジし、楽しみながら色々な脳の部位を刺激するようにしてみましょう。

6. 十分な睡眠をとること

十分な睡眠をとることが認知症の予防につながることが最近、分かってきました。
マウスの実験では、睡眠時間を短く制限するとアルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドベータ(脳の老廃物)の沈着が増えたという報告があります。
また、眠っている間にこの脳の老廃物が除去・排出されることもわかってきました。あまり睡眠時間が短いとアルツハイマー型認知症にかかるリスクが高くなると考えられます。6~8時間を目安に、規則正しい睡眠をとるように心がけましょう。
一般的に年をとるに連れ眠りが浅くなり、睡眠時間も短くなりますので、質の高い睡眠が取れるよう、寝室の環境や寝具などを整えるなどして工夫しましょう。日中眠くなったら昼寝をしても良いですが、短時間にとどめましょう。30分以内の昼寝は認知症のリスクを下げるという報告もあります。

まとめ

  1. バランスのとれた食生活を心がける
  2. 定期的な運動+脳トレーニング
  3. 人と積極的に交流すること
  4. ストレスをため込まないこと
  5. 知的な行動を意識した生活をする
  6. 十分な睡眠をとること

関連タグ:認知症 ラジオ 心療内科 片山先生 

ドクターデータ

片山 真一(かたやましんいち) 医師

心療内科クリニック リュミエール 院長。
おひるーなクリニックの偶数月第1水曜日担当ドクター。

施設名心療内科クリニック リュミエール
住所広島市中区西白島町20-15 メディカルプラザ西白島1F
電話082-212-2000
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