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肺の病気「結核」


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放送日

放送:2017年6月21日(水)
ゲスト:津谷内科呼吸器科クリニック 理事長 津谷隆史 先生
パーソナリティ:おだしずえ、井筒智彦


今日は「結核」についてです。お話をお伺いするのは、広島県医師会常任理事で、津谷内科呼吸器科クリニック理事長の 津谷隆史先生です。先生よろしくお願いいたします。


今回のポイント

  1. 結核は過去の病気ではないの?
  2. 日本はまだ「低まん延国」になっていない。意外と結核罹患率が高い。
  3. 結核は、放置しないで早めの受診が肝心。

前回は肺の病気、なかでも「肺炎」について教えていただきましたが、今回は「結核」についてお話を伺います。「結核」は「過去の病気」ではないんですよね?

明治から昭和20年代までは大変はやっていて、「国民病」「亡国病」と言われていました。
昭和25年まで年間死亡者数も10数万人に及び、死亡原因の第1位でした。有名人では、沖田総司、高杉晋作、正岡子規らがかかっています。

現代は医療 や生活水準の向上により、薬を飲めば完治できる時代になりました。死亡率は百分の一以下にまで激減しています。
しかし、過去の 病気と思っていたら大間違い。
年間18,000人以上の新しい患者が発生し、年間(2015)で約2,000人以上の人が命を落としている日本の重大な感染症です。1 日に 50人の新しい患者が発生し、 5人が命を落としている(厚生労働省:平成27年結核登録者情報調査年報)。
欧米先進国に比べまだまだ結核は多く、世界の中では依然「中まん延国」とされています。
そして,多剤耐性結核などの新しいタイプ結核のため、結核の減少は鈍化しており、1999年には「結核緊急事態宣言」が出されたほどです。

「中まん延国」「結核緊急事態宣言」、気になる言葉が出ましたが、具体的にはどういうことでしょうか?

現在、日本の結核罹患率は2014年に人口10万人あたり15.4人です。米国は2.8人、英国は12人、フランスは7.3人、オランダは5.0人、デンマークは5.9人で、多くが10人以下となっています。欧米先進国に比べまだまだ結核は多く、世界の中では依然「中まん延国」とされています。
人口10万人あたり10人以下の「低まん延国」になるには10年以上、100万人あたり1人以下の「制圧」までには50年以上かかるだろうという予測もあります。 
先進諸国のほとんどは、20年から30 年前にはすでに結核低まん延国になっています。
広島県は、H27年で11.4人です。

では「結核」とはどんな病気なのでしょうか?

結核は「結核菌」という細菌が、肺胞にまで入り込んでそのまま増殖してしまう肺感染症です。
痰に結核菌がいる患者が咳をすると空気中 に飛び散り、それを周りの人が直接吸い込むことに よって感染します。これを「空気感染」といいます。

結核菌が体内に入っても、最初は免疫力が働き、結核菌を退治します。しかし、免疫力が負けると発病します。これを初感染発病といいます(6か月から2年)。

免疫力が勝つと結核菌は発病しないで眠り込みます。数年から数十年。この間になんらかの抵抗力が弱くなったとき、たとえば癌、HIVなどで、結核が発症します。これを既感染発病という。免疫力がそのまま押さえ込んでいれば、一生発病しません。

症状は、2週間以上続く咳やたん、だるさ、微熱などがあります。

では、結核の予防法を教えてください。

免疫力を落とさないことが大切です。
日々の食事、睡眠、禁煙、運動が大事ですね。

抵抗力の弱い赤ちゃんは、結核に感染すると重症になりやすく、生命を危うくすることすらあります。
予防するためには、BCG接種が有効です。市町村からの案内に従って、遅くとも1歳までに接種を受けてください(ちなみに国が示している標準的な接種期間は生後 5 カ月~8カ月の期間)。

結核になってしまった場合、治療法について教えてください。

結核と診断されても、6 カ月間毎日きちんと薬を飲めば治ります。しかし症状が消えたからといって、治療の途中で服薬を止めてしまえば治りません。それどころか、 菌は抵抗力をつけ、薬が全く効かない多剤耐性菌になることもあります。

治療を確実にするために、 医療従事者が患者に薬を 処方するだけでなく、患者が服薬するところを 目の前で確認し、支援する方式が推進されています。
※直接服薬確認療法、DOTS (ドッツ:Directly Observed Treatment, Short-course))

結核について、心がけるべきことはありますか?

2週間以上、咳が続くときは検査や診察を受けましょう。
発症しても、医師の指示通り薬をきちんと飲めば治ります。
自己判断で薬を飲むことを中断せず、きちんと服用し耐性菌を作らないことが大切です。

最近の問題点まとめ

1)海外への渡航と外国人の入国の増加,多剤耐性菌
  • 結核対策が十分に行われていない、開発途上国から 入国する若者が 増えている。
  • グローバル化が進む中で、日本だけが患者を減らしても世界で患者を減らさない と、結果的には日本の患者も減らない。世界では、総人口の約 3 分の1が既に結核に感染している。結核は、世界全体 で死亡原因となる感染症の第1位。結核で亡くなる人のうち95%以上が低所得国と中所得国の人々。2014 年には 960 万人が新たに結核を発病し、150 万人が亡くなった。
  • また、多剤耐性結核の発病者は 48 万人と推計 され、結核と HIV/ エイズの重複 感染とともに問題を深刻化させている。
2)高齢者の再発例が増加
  • 1990年代、60 歳代 が一番多かったが、 2001年には 70 歳代、 2006年には 80 歳代 に移行している。
3)若年患者の治療の不徹底とそれによる周囲の人々への感染
  • 都市部では、若年層で新たに結核を発病する率が高く、若い世代は今まで結核菌にさらされることなく過ごしてきたため、他の世代よりも感染・発病の危険性が高い。
  • 偏食やダイエットなどの食生活の乱れが体の抵抗力を低下させている。

まとめ

  1. 結核菌に感染しても、免疫力が高ければ発症しないが、何十年も体内で菌が眠っていて、免疫が落ちたときに発症することがある。
  2. 発症しても、きちんと薬を飲めば治るが、自己判断で途中でやめると治らない。

関連タグ:結核  内科・呼吸器科 津谷先生 

ドクターデータ

津谷 隆史(つや たかふみ) 医師

津谷内科呼吸器科クリニック 理事長。
おひるーなクリニック偶数月第3水曜日を担当。

施設名津谷内科呼吸器科クリニック
住所広島市東区牛田早稲田一丁目6-3
電話082-221-5463
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