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「超高齢社会」―健やかに老いるには!


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放送日

放送:2017年7月19日(水)
ゲスト:マツダ病院 奥平信義 院長
パーソナリティ:おだしずえ、井筒智彦


RCCラジオでは、隔週で水曜日「スイヨーWATCH! おひるーなクリニック」として、健康や医療に関することを専門の先生にお伺いします。
今日は「超高齢社会―健やかに老いるには!」についてです。
サンフレッチェ広島のチームドクターでもあるマツダ病院・院長の奥平信義先生にお話を伺います。


今回のポイント

  1. 広島県の健康寿命は、全国的に見てどのくらい?
  2. 「適度な運動」って、どのくらいをいうの?

今日は、「超高齢社会」―健やかに老いるにはーというお話なのですが、超高齢社会というのはどんなことですか?

総人口に対して65歳以上の高齢者人口が21%を超えた社会を超高齢社会と呼び、2007年に21.5%となり、超高齢社会になっています。
いいかえれば、今は3~4人の若者が1人の高齢者を支えている「騎馬戦状態」で、2050年には1人の若者が1人の高齢者を支える「おんぶ状態」になるという、恐ろしい世の中になると予想されています。

最近、平均寿命より健康寿命の方が大切だという事をよく耳にするのですが、健康寿命というのはどういう事なのですか?

健康寿命というのは、寝たきりなど健康上の問題がなく、自立した日常生活を送れる状態のことを言います。米国では、「サクセスフル・エイジング(健やかな老い)」と呼び、高齢者の望ましい老いの姿と考えられてきました。

平均寿命と健康寿命の差が大きいという事は、それだけ寝たきりになったり、介護を必要としたりと、自立が失われた状態で生活する期間が長くなることを意味します。

超高齢社会がもたらす課題として、働き手の主力とされる15歳から65歳までの「生産年齢人口の減少や、介護負担の増大などが上げられますが、そんな中、高齢者は少しでも長く健康を維持し、若者の負担を減らし、社会の支え手になる必要があります。

日本の健康寿命は世界一といわれていますが、広島県はどうなのですか?

2015年度の調査で、広島県男性の平均寿命は47都道府県の中で12位の79.91歳ですが、健康寿命は33位の70.93歳、女性の平均寿命は6位の86.94歳、ところが健康寿命は何と、46位の72.84歳とブービーです。平均寿命は長くても、寝たきりや介護の必要がある高齢者が多いという事です。ちなみに、男女とも1位は山梨県です。

広島県人としては考えさせられますね。1位の山梨県と比べて何か違いがあったのですか?

健康寿命を延ばすために大切なこととして、

  1. 栄養バランスのとれた食事
  2. 禁煙
  3. 健康診断を定期的に受ける
  4. 適度な運動

の4つが挙げられますが、そのうち1位の山梨県と比べて、野菜の摂取量、喫煙率、健康診断の受診率などに明らかな差があったそうです。
唯一、適度な運動は挙げられていませんが、なかなか出来そうで出来ない大切な要因だろうと思います。
そこで今日は、健康寿命を延ばす要因の一つである「適度な運動」についてお話ししたいと思います。

高齢者にとって、「適度な運動」は何故必要なのですか?

医学の目覚ましい進歩により多くの病気が治療可能になった現在、残された大きな課題の一つは、長寿の代償といえる認知症や寝たきりをいかに予防するかです。

認知症や寝たきりの主要原因はそれぞれ脳血管障害や運動器疾患であり、その予防の重要性から提唱された概念がメタボリックシンドロームとロコモティブシンドロームです。
メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患を招きやすい病態をいいます。

ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害のため、移動機能の低下を来した状態で、進行すると介護が必要となるリスクが高まるものを言います。平均寿命は延びましたが、私たちの運動器は、元々それほど長持ちするようにはできていません。いつまでも自立した生活を送るためには、定期的に運動器のメンテナンスを行いながら、大切に使い続ける必要があります。

つまり、健康で長生きするためには、この二つのシンドロームを予防する「適度な運動」が重要だという事です。ある調査によると、高齢者が習慣的な運動を4年以上継続することで、健康寿命は約7年延びるという結果があります。

では運動をしたらどのような効果があるのですか?

まず、メタボリックシンドロームの予防としては、全身のエネルギー消費量を増大し、代謝を改善することが必要であり、有酸素運動が推奨されます。
中高年にとって健康維持に必要なのは、有酸素性の運動をして持久力を高めることです。有酸素運動は心・肺機能が改善するばかりでなく、脂肪がエネルギー源として利用され筋肉が使われるため、肥満改善、血糖コントロール、血圧管理に有効であり動脈硬化を予防するなど生活習慣病の最大リスクがうまい具合にコントロールされるので、脳卒中や心筋梗塞などのリスクも軽減されることになります。

また、ウオーキングやジョギングなどの運動は、記憶力を促進する新しい脳細胞を作るだけでなく、感情をコントロールし、物事の計画を立てたり、集中したりする脳の領域である前頭葉にも変化を与えてくれ、ボケ防止にも役立つと言われています。

ロコモティブシンドロームの予防のためには、筋力や筋量を増加させ、バランス感覚をつけることが大切です。筋力づくりの運動は、座る、立つ、歩くなど、日常生活に必要な筋力に必要です。また、バランス運動は転倒・骨折の予防につながります。さらに柔軟性の運動をすることで、関節可動域を向上させ、腰痛や肩こりなどの予防に効果があります。

特に男性においては、生活習慣病の予防や治療に有酸素運動が重要で、女性は男性に比べ筋力の低下や骨密度の減少が顕著ですので、転倒や骨折などを防ぐための、筋力づくりやバランス運動が重要でしょう

具体的にはどんな運動がいいのですか?

運動を続けるためには、効果がある、安全である、楽しいといったことが必要で、一般的にはウオーキングやジョギングが挙げられます。

ウオーキングは歩くことであり、健康増進のための身体に優しい有酸素運動です。歩くスピード、腕の振り、年齢、性別、体重などによってカロリー消費が異なります。

1日に7,500~10,000歩を目安にしますが、まずは1日10分から始めるのがいいでしょう。高齢者では、1回15分のウオーキングを週3回するだけでもボケ防止になります。運動強度は、心拍数で言えば120くらいです。

ジョギングは無理のないスピードで走ることを言い、ウオーキングとランニングの中間になります。ウオーキングよりは消費カロリーはアップするが、その反面着地した時に足腰にかかる負荷が高くなり、障害を起こすリスクがあります。心拍数は120から130前後で、話しながら走れるスピードです。

筋力づくりの運動とバランス運動は、以前紹介しました日本整形外科学会が推奨しているロコモーショントレーニングがいいと思います。スクワットや1分間の片足立ち訓練で、転倒や骨折の予防に効果があります。

柔軟性の運動にはストレッチ体操がいいと思います。

では高齢者の方が運動を始める時、どんなことを注意すればいいのですか?

特に注意したいのは、自分の体力をかえりみず無理をしてしまう事です。若い頃と同じつもりで、つい頑張りすぎてしまうのです。楽しく安全に、かつ効果的に運動を続けるために、まずは現在の身体機能を理解した上で、計画的にスタートさせることが大切です。

出来るなら運動前に血圧を測定することが望ましいです。最高血圧が180mmHg以上、最低血圧110mmHg以上の時は、運動をしてはいけません。
もしこの状態で運動をすると、心臓病や脳卒中といった症状があらわれ、命にかかわる危険性があります。

また、今日は何となく気分がのらないといったような時は、無理に運動をしない方がいいでしょう。休むことも必要で、ストレッチ程度で済ませてください。

水分補給は十分に行ってください。その際あまり冷たいものではなく、15~20度くらいのぬるま湯がお勧めです。

高齢者は無理に負荷を増やしていく必要はなく、現状を維持することで十分だと思います。

もう一つ加えれば、運動にストレスを持ち込まないことです。
例えば、ゴルフでバーディーパットを決めようとするとどうしても緊張し、息を詰めます。息を詰めると血圧が上昇し、心臓や血管に大きな負担がかかり、心筋梗塞を起こし死亡するという事もあります。運動にはストレスを持ち込まず、楽しく気楽にやりましょう。

適切な運動の強度やペースを知るのに、何か目安になることがありますか?

脈拍数が目安になります。
最初のうちは1分間の脈拍数で、138から自分の年の半分を引いた数、例えば50歳の人なら、138から25を引いた数の113を越えない程度が目安となります。ただし、これも個人差がありますので数値だけでなく、息切れがしない程度、会話をしながら運動が出来る程度、翌日に疲れが残らない程度、といった自分の感覚を目安にする方が大事かもしれません。

慣れてきたら少しずつ運動強度を高めていきます。例えば、ウオーキングから始め、慣れてくると「ジョグウオーク」といって、ウオーキングをしながら時々ジョギングを取り入れる程度の運動をする。さらに体力的に自信がつけば、ジョギング、ランニングということになります。

健康のために運動は大切だという事はよくわかりましたが、逆に運動が障害を引き起こす要因といったものがありますか?

障害を起こす要因として3つの要因が考えられます。
ひとつは、身体的要因です。つまり、その人自身の身体特性によるものです。
最も多いのが年齢による様々な身体機能の低下ですが、O脚、X脚といった下肢のアライメントの不整も障害を起こす要因になります。

二つ目は、環境要因でトレーニング中の周囲の環境に関わるものです。
例えば、シューズ、路面、気候などです。
シューズですが、ジョギングの着地の際、下肢にかかる衝撃を緩和するためには軽くて薄い靴より、多少重くてもクッションに厚みのある靴を選んだ方がいいと思います。
路面は土、コンクリート、芝生あるいは路肩の傾斜など様々な要因が考えられます。もちろん芝の平らなところがベストですが、道路でジョギングなどをする時は、同じ側ばかり走らないようにしてください。道路の端っこは傾いているため、膝の外側にある靱帯を傷めることがあります。暑さ、寒さなどへの注意も必要です。

三つ目は、トレーニング要因で、トレーニングの強度、量、頻度、休養などの関わりです。ランナーズハイという言葉がありますが、ジョギングの障害としても「走り過ぎ」があります。無理をせず、ゆっくりとマイペースで、楽しく運動をすれば障害は起きないでしょう。
人間の持つ機能は使わなければ衰え、使いすぎると壊れ、適度に使えば発達します。
運動や日常の身体活動が、健康づくりや病気の予防改善に効果があり、ひいては健康寿命を延ばし、高齢者も社会の支え手として存在感を示すことに繋がります。

まとめ

  1. 健康寿命を伸ばすためには、適度な運動が大切。
  2. ウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動、バランス運動などを無理せず、長く続けることが効果的。
  3. 運動前に血圧を測って、血圧が高めのときには運動をしない。

関連タグ:健康管理 ラジオ 老い 整形外科 奥平先生 

ドクターデータ

奥平信義(おくひらのぶよし) 医師

マツダ病院 院長。 専門は整形外科で、「サンフレッチェ広島」のチームドクターを務める。
奇数月第3水曜日の「おひるーなクリニック」担当ドクター。

施設名マツダ病院
住所広島県安芸郡府中町青崎南2-15
電話082-565-5000(代表24時間対応)
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