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ランニング障害 -走り方に原因?陸王は救世主になれるか?


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放送日

放送:2017年11月15日(水)
ゲスト:マツダ病院 奥平信義 院長
パーソナリティ:おだしずえ、井筒智彦


RCCラジオでは、隔週で水曜日「スイヨーWATCH! おひるーなクリニック」として、健康や医療に関することを専門の先生にお伺いします。
今日は「ランニング障害 -走り方に原因?陸王は救世主になれるか?-」としてお送りします。
サンフレッチェ広島のチームドクターでもあるマツダ病院・院長の奥平信義先生にお話を伺います。


今回のポイント

  1. ランニングで膝や足が痛くなる原因は何?
  2. 痛くなったら、どのような治療をするの?
  3. 今話題のTBSドラマ「陸王」のミッドフット走法は、正しい走り方なの?

ランニングは健康に良いということで多くの人が走られていますが、中には膝や足が痛いと言う方もおられますよね?

ランニングは足を着地するとき、片足には体重の約3倍程度の衝撃が加わる為、膝、下腿、アキレス腱、足など下肢に障害が多く発生します。そして、そのほとんどは筋肉や腱といった組織に起こります。障害を起こす共通の要因は「走り過ぎ」ですが、他にも走り方、シューズ、環境、あるいはO脚、X脚といった身体的特徴など様々な要因が重なって発症すると考えられます。
今日は主なランニング障害を紹介し、その要因として最近注目されている走り方、特に足の着地について考えてみたいと思います。

膝周辺の痛みがあって走れないということをよく聞きますが?

膝周辺の痛みを起こす障害として、腸脛靱帯炎があります。これは膝の外側にある腸脛靭帯が、膝を屈伸するときに大腿骨の骨隆起で摩擦を生じ炎症を起こし、痛みを生じる障害で、ランナー膝とも呼ばれます。ある一定の距離を走ると痛みが出てきたり、下り坂を走る時に痛みが増すのが特徴です。

腸脛靱帯炎の要因は?

要因としては、いつも左右に傾斜のある路面を走っていたり、O脚や足首が内反といって内側に曲がっている人や踵の外側がすり減っているシューズを履いて走っているなどが挙げられます。しかし、より大きな要因としては、1歩の幅が広い「かかと着地」で、体重が外側にかかるような走り方をする人は、太ももの外側に負担がかかりやすく、腸脛靱帯炎を起こしやすいといわれています。

他にはどんなものがありますか?

膝の内側で脛骨上部の部分に、半腱様筋・薄筋・縫工筋などの筋肉が付いている部分があります。鵞鳥(ガチョウ)の脚に似ているところから鵞足(がそく)といいますが、この部分に過度のストレスがかかることによって炎症を起こし、痛みを生じるもので、鵞足炎といいます。

鵞足炎の要因は?

内股やX脚の人で、踵が内側に倒れ込むような走り方をすると内側に体重がかかり、鵞足部分に負担がかかり発生します。また、シューズの踵が外側より内側がすり減っているのを履いて走ると同じようなことが起こります。
さらに、つま先の足の裏、内側にある母趾球あたりで着地したり、地面を蹴るような走り方を続けると、鵞足の3つの筋群が過度のストレスを受け、鵞足の付着部が強く引っ張られることで炎症を起こし、痛みを生じます。

アキレス腱の痛みを訴える方もおられますが?

アキレス腱周囲にある薄い膜が炎症を起こす「アキレス腱周囲炎」と、アキレス腱が繰り返し引っ張られる力により、腱自体の繊維が微小断裂を起こす「アキレス腱炎」があります。どちらが問題かというと「アキレス腱炎」の方で、損傷がくりかえされ、不十分な修復が蓄積されるとアキレス腱自体が変性し弱くなり、最悪の場合アキレス腱が切れるというリスクがあります。

アキレス腱炎の要因は?

要因の多くは、「走り過ぎ」によりふくらはぎの筋肉の柔軟性が落ち、その結果アキレス腱の負荷が大きくなり障害を起こすのですが、さらに重要なのは走り方にあるといわれています。つま先で地面を突くような着地をすると、ふくらはぎの腓腹筋は衝撃を受け止め、ブレーキをかけるような伸張性筋収縮(エキセントリック収縮)が起こり、大きなストレスを受けます。さらに、地面を蹴るように走っていると腓腹筋やヒラメ筋は短縮性収縮(コンセントリック収縮)を起こし、そこでも大きなストレスを受けることになります。このようなストレスが続くことによりアキレス腱に障害が発生します。コンセントリック収縮とエキセントリック収縮を、ダンベルを使った筋力トレーニングで説明しますと、ダンベルを持って肘を曲げる時に起きる上腕2頭筋の収縮がコンセントリック収縮で、肘を伸ばして元に戻す時、上腕2頭筋がブレーキをかけるように収縮するのがエキセントリック収縮です。

足の痛みはどんな所におきますか?

人間の足の裏は歩いたり走ったりする時、路面からの衝撃をやわらげるためにアーチ状の構造になっています。このアーチを支えているのが足底筋膜で、踵から足の付け根まで広がっており、クッションの役目をしています。ところが、ランニングなどで路面からの衝撃を繰り返し受けると、足底筋膜に細かい断裂が生じて炎症を引き起こします。特に踵の骨についている部分は、力学的に弱いところで損傷を起こしやすく、痛みを生じるところです。この障害の要因も、つま先着地で強く地面を蹴るような走り方をする人に起こしやすいといわれています。

ランニング障害の治療はどうすればいいのですか?

ランニング障害の大きな要因は「走り過ぎ」で起きますので、ランニングを中止し、ウオーキングに変えるとか、痛みが無くなるまで走らないようにすることです。また、それぞれの障害部位にあったストレッチを行うことも有効です。しかし、痛みが無くなりランニングを再開してもまた痛みが出てくるようであれば、それは走り方が悪いという根本的な問題で、これを改善しなければランニングを続けることができません。

走り方に問題があるということですが、足の着地の仕方には、かかと着地、つま先着地、フラット着地の3つの方法があるそうですね?

かかと着地はヒール着地とも言いますが、一般的な走り方で、人間が走るうえで最も自然な形の着地法といわれています。しかし、前に進むというランニングの原理からすると、ブレーキを掛けながら走っている状態であり、決して効率の良い着地とはいえません。かかとから着地した場合は、足が地面についている時間が長くなるため、身体にかかる負担も大きくなります。特に太ももの筋肉に負担がかかりやすく、膝周辺の障害を起こしやすいとされています。
つま先着地はフォアフット着地とも言い、アフリカなどのトップランナーに見られる走法で、かかと着地よりも身体への衝撃が少なく、より速く、より長く走れるといわれています。
人間は裸足で走るとかかとからの衝撃に耐えられず、自然につま先で着地するようになります。裸足のオリンピック金メダリスト、アベベが有名です。しかし、この走法はある程度脚の筋力がないと障害をおこしやすいとされ、ふくらはぎやアキレス腱への負荷が増えるといわれています。
フラット着地はミッドフット着地とも言い、足裏全体の大きな面積を使って着地していく方法で、他の着地と比べ着地した時の衝撃が少ないため、身体への負荷も少ないとされています。この着地を取り入れた走法を「フラット走法」といいます。この走法のコツは、股関節あたりに重心を置き、重心の真下に足裏全体で着地することです。重心より前に着地しようとするとかかと着地となり、重心の後方に着地しようとするとつま先着地になります。

フラット走法の利点はどんなとこにあるのですか?

この走法の利点は、足の裏全体で衝撃を吸収することが出来て、お尻の筋肉を使って走ることが出来ます。また、ランニング中の上下動がなくなり、スムーズな平行移動が出来、エネルギーロスが少なくなり「省エネ走法」とも言われています。

最近「TBSドラマ陸王」でこの問題が話題になっていますが?

このドラマでは、ランナー障害を起こす走り方とシューズの問題が取り上げられています。ドラマの中でランニングインストラクターの有村氏は、「最近ランナーのケガが増えているのは、単にブームで人数が増えただけではなく、今、流行のシューズは踵のソールが分厚くて必然的に踵から着地する「ヒール着地」になっている。これだと膝周辺の障害を起こしやすい。一方、足の真ん中で足裏全体を使って着地する「ミッドフット着地」は足への衝撃が吸収され、エネルギー効率も良い。これこそが人間本来の走り方です。そもそも人類の歴史でホモ・サピエンスが生き残ったのは、長距離を走る能力があって、動物が疲れて倒れるまで、一緒にずっと走って猟をしていたそうで、それが出来たのはミッドフット着地のおかげです。そしてこのミッドフット着地を可能にするのが地下足袋のようなフラットで薄いシューズです」。といった感じのセリフでした。これを聞いて「こはぜ屋」の宮沢が「陸王」の開発を始めるということです。はたして理想のシューズを開発することが出来るのか、茂木は蘇えることが出来るのか、乞ご期待ということです。

ということで、「フラット走法」が体への負担が少なく、楽に、長く、効率よく走れる走法として今注目されています。とはいっても、正しいといわれるランニングフォームが万人にあっているかどうかはわからないことで、まずはどこが痛いのか、使用しているシューズのソールがすり減っていないかなど、いろいろな要因を確認した上で、自分に合った走り方に改善していけばいいと思います。

まとめ

  1. 障害を起こす共通の要因は「走り過ぎ」。
  2. 他にも走り方、シューズ、環境、あるいはO脚、X脚といった身体的特徴など様々な要因が重なって発症する。
  3. 万人にとって正しい走法というのはなく、自分の体に合った走り方を見つけることが大事。

関連タグ:ランニング  整形外科 奥平先生 

ドクターデータ

奥平信義(おくひらのぶよし) 医師

マツダ病院 院長。 専門は整形外科で、「サンフレッチェ広島」のチームドクターを務める。
奇数月第3水曜日の「おひるーなクリニック」担当ドクター。

施設名マツダ病院
住所広島県安芸郡府中町青崎南2-15
電話082-565-5000(代表24時間対応)
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