文字サイズ
  • 文字サイズ大
  • 文字サイズ小

坐骨神経痛その2―腰部脊柱管狭窄症―


放送を聴く

放送日

放送:2018年3月21日(水)
ゲスト:マツダ病院 奥平信義 院長
パーソナリティ:おだしずえ、井筒智彦


RCCラジオでは、隔週で水曜日「スイヨーWATCH! おひるーなクリニック」として、健康や医療に関することを専門の先生にお伺いします。
今日は「坐骨神経痛その2―腰部脊柱管狭窄症―」と題してお送りします。
サンフレッチェ広島のチームドクターでもあるマツダ病院・院長の奥平信義先生にお話を伺います。


今回のポイント

  1. 腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアの違いは?
  2. どんな症状があるの?
  3. 予防する方法は?

前回お伺いした椎間板ヘルニアとは違うのですか?

腰椎椎間板ヘルニアは比較的若い人に多いのですが、腰部脊柱管狭窄症は中高年になるにつれて発症するものです。この病気は、みのもんたさんや桂歌丸さんが手術を受けたことで一般的になりましたが、高齢化の進展に伴って増えています。男性50歳代以降、女性70代以降で10%以上の頻度で見られ、国内での患者数は580万人と推定されています。

どんな症状がありますか?

典型的な症状は、左右いずれか一方のお尻から太もも外側が痛んだり、しびれたりする坐骨神経痛の症状で、腰痛は主な症状ではありません。
椎間板ヘルニアと違って、坐骨神経痛の出方に特徴があります。それは、立っている時や歩いている時に下肢の痛みやしびれが起きるのですが、腰を丸めたり、自転車に乗ったり、横向きで寝たりしている時は痛みが軽くなります。これは、背筋を伸ばした姿勢の時に腰の神経が強く圧迫されるのに対して、少し前かがみになると神経の圧迫が緩んで、楽になるからです。

他に、特徴的な症状がありますか?

坐骨神経痛の他に、長い時間を歩いていると下肢の痛みやしびれがつらくなって歩けなくなり、腰を曲げて一休みすると再び歩けるようになる、このような症状を間欠性跛行と言い脊柱管狭窄症の特徴的な症状です。
この症状が悪化すると、連続して歩ける距離が徐々に短くなり、立っているのもつらくなったり、おしっこの出が悪くなどの排尿障害を起こすこともあります。

同じような症状を、違う病気でも起こすということを聞いたことがあるのですが?

この間欠性跛行と同じような症状を起こす病気に、下肢の血管障害の「閉塞性動脈硬化症」があります。狭窄症と違う点は、姿勢による症状の変化はなく、動脈硬化で血流が悪くなり、足背動脈が触れにくい、足が冷たいなどの特徴があります。

脊柱管狭窄症の原因は何なのですか?

体を支えている背骨が脊柱で、この脊柱の中心部は管状になっており、脊柱管と言います。この脊柱管の中を脳から伸びている脊髄が通ります。脊髄は脳から四肢などへ様々な命令を伝えるワイヤーの束の様なもので、腰の部分では馬の尻尾のようになっていることから馬尾神経と呼ばれます。馬尾神経はそれぞれの腰椎で左右一対ずつ枝分かれし、椎間孔という狭いところを通って下肢に向かい、腰椎下部では坐骨神経になります。
この脊柱管が細くなる原因として最も多いのは老化で、背骨が変形したり、椎間板がつぶれて後方に突き出たり、靱帯が厚くなったりして脊柱管が狭くなります。その結果、馬尾神経や神経根が圧迫されて炎症や血流障害を起こし、痛みやしびれなどの症状を引き起こします

老化以外でも起きるのですか?

女性に多いとされる「変性すべり症」の方も腰部脊柱管狭窄症になりやすいと言われています。変性すべり症では、腰椎の椎骨にずれが生じることで脊柱管を圧迫するため、下肢のしびれなど似たような症状が現れます。
変性すべり症は、閉経期を迎える中年以降の女性に多いといわれ、年齢による骨の変形に加えて、女性ホルモンの減少や骨粗しょう症の進行が関与しているのではないかと考えられています。
また、生まれつき脊柱管が狭いために、若くても腰部脊柱管狭窄症になる人もいます。

腰部脊柱管狭窄症と診断される基準はどんなことですか

1.臀部から下肢の痛みやしびれを要する
2.臀部から下肢にかけての疼痛やしびれは、立位や歩行の持続によって出現あるいは増悪し、前屈したり、座ったりすると軽快する
3.MRIなどの画像で、脊柱管や椎間孔が狭くなっている状態が確認され、臨牀所見を説明できる
などを満たしていると腰部脊柱管狭窄症と診断されます。

では治療法について教えてください。

軽度または中等度の患者のうち、1/3ないし1/2では自然経過でも良好な予後が期待できるので、ほとんどの患者さんに保存的治療が優先されます。
保存的治療としては、薬物療法やブロック療法などがありますが、特に馬尾神経の血流改善を目的とした薬剤の投与は有効とされています。
他に、腰部の安静や前屈位の保持を目的とした装具を用いたり、物理療法や運動療法などのリハビリテーションも効果があります。

手術が必要な場合はどういうときですか?

症状が強い、重症でなくても仕事を含む日常生活に明らかな支障がある場合は、長期間の保存療法に漫然と固執することなく手術が必要と思われます。高齢者の間欠性跛行では100mを手術基準とすることが多いようです。さらに、下肢の運動麻痺や排尿障害などが起きてきた場合には早期の手術が必要です。

どのような手術ですか?

手術は脊柱管周囲の骨を部分的に削ることなどによって脊柱管を拡げ、馬尾神経や神経根の圧迫を取ってやります。もし骨の不安定性が強い場合には、固定を行うこともあります。

手術をしても治りにくい場合がありますか?

安静時の下肢のしびれはなかなか消失しにくいとか、術前にうつ状態があると成績が低下すると言われています。
また、罹病期間が長すぎると、手術適応であっても十分な改善を得られないことがあります。今まさに超高齢社会ですが、75歳以上であってもよい手術成績を期待できますので、高齢であるという理由で手術しない方がいいとする理由にはならないと言われています。手術後4~5年の経過では総じて患者さんの70~80%において成績は良好とされていますが、それ以上長期になると低下することがあります。

最後に日常でのケアや注意点を教えてください。

歩くと痛みが出やすく、座ったり、寝ていると楽になるので、歩くことがおっくうになりがちです。しかし、歩かないと筋力が低下し、いろいろな病気の悪化につながります。痛みがひどくならない範囲で、出来るだけ歩くよう心がけましょう歩くときは少し前かがみになることがポイントで、歩くことで下肢の血流が促進されます。適度に休憩を入れながら無理なく行ってください。
自転車は前かがみになる為、歩くより楽です。ただ、転ばないように注意してください。
片脚立ちやスクワットといったロコトレを行い、楽しいことをしたり、おいしいものを食べて側坐核をしっかりと刺激してください。

まとめ

  1. 腰椎椎間板ヘルニアは比較的若い人に多いが、腰部脊柱管狭窄症は中高年になるにつれて発症することが多い。
  2. 立っている時や歩いている時に下肢の痛みやしびれが起きるが、腰を丸めたり、自転車に乗ったり、横向きで寝たりしている時は痛みが軽くなる。
  3. 歩くことがおっくうになりがちだが、歩かないと筋力が低下し、いろいろな病気の悪化につながるので、出来るだけ歩くよう心がけましょう

関連タグ:ランニング  整形外科 奥平先生 

ドクターデータ

奥平信義(おくひらのぶよし) 医師

マツダ病院 院長。 専門は整形外科で、「サンフレッチェ広島」のチームドクターを務める。
奇数月第3水曜日の「おひるーなクリニック」担当ドクター。

施設名マツダ病院
住所広島県安芸郡府中町青崎南2-15
電話082-565-5000(代表24時間対応)
RCC情報
会社情報 採用情報 個人情報保護への取り組み 著作権とリンク 情報通信セキュリティ方針国民保護業務計画ご意見・ご感想
関連会社
RCC文化センターRCCフロンティア|オレンジシステム広島|中国新聞グループwebJNN系列放送局
PR
RCC中古車展示場MEGARCCリフォームセンター
広島県日韓親善協会
Copyright (C) RCC BROADCASTING CO.,LTD. All rights reserved.